採用してもすぐ辞めてしまう。
そもそも応募が来ない。来ても、なんだか会社に合わない。
そんな採用の悩みを抱える中小企業が今、とても増えています。待遇や条件を見直しても、思うような人材とは出会えない。そこに共通するのは、会社の“本当の魅力”や“想い”が、求職者に届いていないという課題です。
今、必要なのは「この会社で働きたい」と心から思ってもらうための伝え方。ここでは、採用におけるブランディングの考え方と、その可能性をお伝えします。
1. 採用が難しくなっている背景
「求人を出しても、応募がこない」「採用しても、すぐに辞めてしまう」「面接では良さそうだったのに、実際は会社に合わなかった」——そんな声を、企業の採用担当者や経営者の方々からよく耳にします。
労働人口の減少、若手の価値観の多様化、SNSでの評判も左右する時代。これまで通りの“求人票を出して待つ”スタイルでは、人が集まりにくくなっているのが現実です。
また、「どんな人に来てほしいか」が社内で共有されていないことで、採用のミスマッチが起きるケースも少なくありません。
応募が来ない。来ても続かない。そのたびに、時間もお金も、現場の士気も奪われていく——。そんな“採用疲れ”に陥っている企業が増えています。
応募がまったく来ない
求人を出しても、反応がない。アクセスはあるのに、応募につながらない。求人票のどこに原因があるのかもわからず、不安だけが募る。
採用してもすぐ辞めてしまう
ようやく採用できたのに、数ヶ月で退職。「うちの何が悪かったのだろう…」と自信を失ってしまうケースも。
面接では良かったのに実際は合わなかった
人柄やスキルは申し分ないと思ったのに、入社してみたら価値観や社風が合わない。現場から「ちょっと違ったかも…」という声が出る。
条件面では負けていないが、選ばれない
給与や休日などの待遇は業界水準以上。それでも他社に流れてしまう。「なぜうちじゃないの?」という疑問が残る。
どんな人に来てほしいか、定まっていない
「いい人がいれば採りたい」と思っているが、具体的にどんな人材が“うちに合うのか”が共有されていない。結果、判断基準もバラバラになってしまう。
採用活動そのものがしんどくなっている
何度も失敗を繰り返す中で、採用活動に対する気力やモチベーションが下がっている。「もう誰でもいいから来てくれたら…」そんな声も聞こえてくる。
2. 数字で見る、中小企業の採用の現実
採用が難しくなっているのは、あなただけではありません。
ここでは、いま中小企業を取り巻く採用環境を、数字で見ていきます。

日本商工会議所によると、採用を行った中小企業のうち、73.6%が「計画通りに採用できなかった」と回答しており、「採用したいけど、思うようにいかない」状態に多くの企業が陥っています。

東京商工会議所の調査によると、中小企業の約7割が「人手不足を実感している」と答えています。これはコロナ前の2019年を上回る水準で、人材確保の難しさが年々増していることを示しています。

ここまで採用が難しくなっている理由のひとつは、若年人口の急激な減少です。成人年齢人口(20歳)は、今後20年間で40万人以上も成人人口が減ると推定されています。
だからこそ、「どう伝えるか」が採用の明暗を分ける時代。
経営者や社員が、自社の価値を理解し、自社の“らしさ”や“想い”を発信できる会社が、選ばれる会社になるのです。
3. なぜ、採用ブランディングが必要なのか?
採用がうまくいかない原因は、能力や条件の“ミスマッチ”ではなく、**価値観や空気感の“すれ違い”**にあることが少なくありません。
例えば——
- 社員同士が仲が良く、面倒見もいい
- 老舗だけど、意外と自由でチャレンジが歓迎される
- 数字だけでなく、お客様との関係性を大切にしている
こうした“会社らしさ”は、求人票の文言や待遇の数字だけでは伝わりにくいものです。
また、求職者は働く場所として会社を選ぶとき、条件だけでなく、無意識のうちにこんなことを考えています。
- 「この会社で自分は気持ちよく働けそうか」
- 「自分らしくいられそうか」
- 「人間関係はどうか」
でも、企業側がその感覚的な魅力をきちんと発信できていないと、
どれだけ良い社風があっても、それは“伝わっていない=存在しない”のと同じ。
だからこそ今、採用ブランディングが必要なのです。
自社の“らしさ”を見つけて、言語化し、外に向けて丁寧に伝えていくこと。
それが、未来の仲間と出会うための第一歩になるのです。
4. 採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、
「自社に合う人材に出会うために、会社の価値観や想いを明確にし、伝える仕組みを整える」ことです。
求職者が企業を選ぶとき、給与や条件だけでなく、
「この会社が大切にしている考え方に共感できるか」
「ここで働く自分を想像できるか」
といった内面的な共鳴をとても大切にしています。
そこで、採用ブランディングではまず、会社の“軸”を明確にします。
具体的には、以下のような内容を言語化していきます。
⚫︎採用ブランディングで明確にする主な項目

企業としての内面的な“軸”
理念(Mission):会社が存在する理由。なぜこの仕事をしているのか?
ビジョン(Vision):目指す未来。会社はどこへ向かおうとしているのか?
価値観(Values):大切にしている考え方。どう働き、どう判断しているか?
社風・文化:日々のコミュニケーションや雰囲気。働く上での空気感
仕事の意味:この仕事が誰に、どんな影響を与えているか?
採用に結びつけるための“見せ方・伝え方”視点
求める人物像:どんな価値観を持った人と働きたいか?
“らしさ”の言語化:この会社にしかない魅力・強みは何か?
社員のリアルな声やエピソード:働く姿がイメージできるように
採用メッセージ:どんな想いで新しい仲間を迎えたいのか?
これらは単なるスローガンではありません。
- なぜこの仕事をしているのか?
- どんな人と働きたいのか?
- この会社は、社会にどんな価値を届けたいのか?
こうした企業の本質に関わる問いへの答えを見つけていくプロセスなのです。
そして、それを社員一人ひとりが共有し、実感として持てるようになると、採用活動における発信や面接の場でも、ブレない“その企業らしさ”を伝えることができるようになります。
採用ブランディングは、見せ方のテクニックではありません。
“本当に合う人”と出会い、共に未来をつくっていくための、企業の軸を整える取り組みなのです。
5. 採用ブランディングで変わる‘採用の質’
採用ブランディングの最大の効果は、単に「応募数を増やす」ことではありません。
本当に変わるのは、“どんな人が来るか”と、“どれだけ長く一緒に働けるか”です。
● 「会社に合う人材」が自然と集まるようになる
企業の想いや価値観を発信することで、そこに共鳴する人が反応するようになります。無理に「全方位ウケ」を狙わなくても、“この会社の考え方、好きだな”と感じた人が応募してくる状態が生まれます。結果、最初から“フィット感”のある関係性が築きやすくなります。
● 面接が「条件のすり合わせ」から「価値観の対話」に変わる
ブランディングができている会社は、面接で“お互いに見極め合う時間”が生まれるようになります。求職者も、企業も、「自分らしく働けるかどうか」を素直に話せる空気がつくられるからです。これにより、入社後のギャップや早期離職のリスクがぐっと減ります。
● 採用が“育成”や“定着”につながる
ブランディングによって会社の方向性や文化が明確になると、社員のエンゲージメントにもつながります。
入社時から「ここに共感して入った」という実感があると、仕事への責任感や成長意欲にも差が出ます。
● 社内にも「うちってこういう会社だったんだ」という再発見が生まれる
採用のために自社を見つめ直すことで、社員の誇りや共通認識も育ちます。
「こういう人に来てほしい」という視点は、結果的に「自分たちはどうありたいか」につながり、
ブランディングがインターナルブランディング(社内浸透)にも波及するのです。
採用は、会社の未来をつくる大切な出会いの場。だからこそ、数ではなく“質”を高めることが、会社全体の成長に直結します。その土台をつくるのが、採用ブランディングなのです。
6.ストーリーを共有することで、応募者との距離が縮まる
どんなに理念が明確で、採用の仕組みが整っていても、その想いや価値観が“伝わっていなければ”出会いは生まれません。ストーリーは、会社の魅力を“感情で伝える”ための大切な手段です。
たとえば——
- 創業者がどんな想いでこの会社を立ち上げたのか?
- これまでにどんな困難を乗り越えてきたのか?
- どんなお客様の声に支えられてきたのか?
- 社員たちがどんな働き方ややりがいを感じているのか?
そんなリアルなエピソードが、共感を生み、心を動かします。

求職者は、会社のストーリーを通して、「ここで働くことが、自分の人生にとってどんな意味を持つか」を自然と想像し始めます。
“自分もこのチームの一員になりたい” “この価値観の中で、自分らしく働きたい”そう思えるかどうかが、応募や入社の意思を大きく左右します。
そして、そのストーリーは、動画やWEB、パンフレットなどの表現に落とし込むことで、相手に届けることができます。採用におけるストーリーは、作られた“きれいごと”ではありません。
会社の歩みや人の想いを、自分たちの言葉で丁寧に伝えていくこと。そこから生まれる共感こそが、“長く共に歩める仲間”との出会いにつながるのです。
7. ブランドストーリー研究所の採用ブランディング・サポート
ブランドストーリー研究所では、企業の“らしさ”を掘り起こし、採用に活かせるかたちへと整えていく、対話型のブランディング支援を行っています。
まずは“内側の声”に耳を傾けるところから
採用ブランディングフェーズ (約3ヶ月〜)
経営者や社員の方との対話を通じて、会社が大切にしてきた価値観や文化、そして「どんな仲間と働きたいか」をじっくりと言葉にしていきます。
採用の悩みを解決する第一歩は、自社の魅力や想いを、企業自身が再確認すること。私たちはその伴走者として、共に整理し、見つけ出すお手伝いをします。
明文化された“想い”を、伝わる表現へ
発信準備フェーズ(具体化)
言語化された理念やビジョンは、会社紹介動画、採用ページ、パンフレット、SNS発信など、求職者に届く表現へと展開します。
ただ見た目を整えるのではなく、「ここで働く未来」を感じてもらえるような、あたたかく、リアルな伝え方を重視しています。
マッチング
採用活動フェーズ
本格的な採用活動開始。面接では条件だけでなく“想い”や“働き方”の話が中心に進めることで、会社の価値観に共感した応募者との、ズレの少ない採用が実現します。
採用決定
採用は、会社の未来への入り口
本当に会社にフィットする人材と出会えたとき、採用は「選ぶ」から「つながる」へと変わります。そしてその出会いは、組織を強くし、ブランドの成長にもつながっていきます。
「採用に悩んでいるけれど、何から始めたらいいかわからない」「自社らしさをどう伝えればいいのか迷っている」
そんなときこそ、一度私たちにご相談ください。“話すこと”から、採用ブランディングは始まります。
当社のブランディング研修は、自己流のアプローチではありません。
(一財)ブランドマネージャー認定協会 および (一社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 の考え方と手法をベースにした、体系的かつ実績に裏付けられた方法論を採用しています。
これらの協会が提唱するフレームワークと当社の経験を組み合わせることで、企業の強みを最大限に引き出し、目に見えない価値をカタチにして伝えるブランディングを実現しています。
8. まとめ|採用は“未来の仲間を選ぶこと” だからこそ、伝える力が大切なのです。
「いい人が来ない」「すぐ辞めてしまう」
そんな採用の悩みの根っこには、“会社の魅力が届いていない”という問題があるのかもしれません。求職者は、給与や条件だけではなく、“どんな想いを持った会社か”“どんな人たちと働くのか”を見ています。
だからこそ、会社の価値観や文化を言葉にし、それに共感してくれる人に届ける。そのプロセスが、これからの採用には必要です。
採用は、未来の仲間を選ぶこと。
そしてその仲間とともに、会社の次のページをつくっていくことでもあります。
「うちの“らしさ”って何だろう?」「本当は、どんな人と一緒に働きたいんだろう?」そうした問いを立てるところから、採用ブランディングは始まります。
今のやり方に少しでも迷いやモヤモヤがあるなら、一度立ち止まり、“想いを伝える採用”に目を向けてみてください。その先に、きっと、あたたかく信頼できる出会いが待っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。お問い合わせは CONTACT から
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