いま、ネットを開けば「ストーリーが大事」「想いを語れ」「理念が共感を呼ぶ」といった言葉があふれています。
どの企業も「私たちはこうして生まれ、こんな想いで〜」という“いい話”を語っていますが、正直、聞き飽きたと感じていませんか?
それでも、私はあえて伝えたいのです。
ブランドストーリーを語らない企業から、静かに姿を消していっている現実があることを!
ブランドストーリーは、もはや“流行り”ではありません。
企業が未来を語るために必要な「骨格」であり、
それは「語るため」ではなく、企業が「生き残るため」にあるのです。
1. “ブランドストーリーにまつわる悩み”、抱えていませんか?
- 理念はつくったけれど、“絵に描いた餅”になってしまっている
- 社員に思いを語っても、「いい話ですね」で終わってしまう
- 歴史はあるが、何が“ブランドストーリー”になるのか分からない
- よそに比べて“語るほどのこと”が見当たらない気がする
- 「想いはある。でも、伝えるとウザく思われるのでは」と感じてしまう
- 周囲の企業が“かっこよく発信”しているのを見て焦るが、真似できない
- ブランド動画やWebサイトを外注しても、「なんか自分たちらしくない」と感じる
こうしたモヤモヤを抱える企業は、実はとても多いのです。
そのモヤモヤの多くは、「伝える言葉が整理されていない」ことに原因があります。
ここからは、ブランドストーリーがなぜ今、経営において必要なのか──
その理由を5つの視点から紐解いていきます。
2. ブランドストーリーはなぜ経営に不可欠なのか?──5つの理由

「志」がないと、選ばれない時代だから
いまは“何をしている会社か”より、“どんな想いでやっている会社か”で選ばれる時代。ブランドストーリーは、志をわかりやすく・心に残るかたちで伝える手段です。

社員が誇れる「物語」がある会社は、強い
企業の社員の方から「会社の理念がわからない」「会社の想いが見えない」といった声をときどき耳にします。こうした声の背景には、企業の理念や想いが十分に社内で共有されていない問いう現実があります。
企業の原点や志のストーリーが社内に根づくことで、社員の帰属意識や誇りが育まれます。ストーリーは、社員の心に火を灯すインナーブランディングの核になるのです。

顧客の“感情”を動かせる唯一のブランド要素
商品やサービスは真似されることがあっても、ストーリーは決して真似できません。なぜなら、それは企業の人生そのものだからです。
人は機能でモノを買いますが、感情で「誰から買うか」を決めています。その感情に響くのが、ブランドストーリーなのです。

苦しいときに立ち返る“羅針盤”になる
経営に迷いや揺らぎが生じたとき、「私たちはなぜこの会社をやっているのか」という原点に立ち返る必要があります。
その時に拠りどころとなるのが、ブランドストーリーです。企業の存在理由=パーパスを可視化する、まさに“経営の羅針盤”となるのです。誰から買うか」を決めています。その感情に響くのが、ブランドストーリーなのです。

未来に「共感者」を増やせる
ブランドストーリーを発信することで、企業の想いに共感し、未来をともにしたいと感じる仲間が自然と集まってきます。
それは、顧客や社員候補だけでなく、ビジネスパートナーや投資家など、さまざまなステークホルダーにも広がっていきます。物語は、共感の輪をつくる起点になるのです。
3. ブランドストーリーが、今こそ必要な理由
いま、世の中には“ストーリーっぽいもの”が溢れています。美しい言葉で飾られた創業エピソード、理念を並べた動画、想いを語る風のコピー。けれど、それがどこか“通り一遍”に感じられてしまうのは、なぜでしょうか?
それは、本質が語られていないからです。
心が動く物語には、必ず“ゆらぎ”があります。理想と現実の間で揺れた時期、迷い、対立、失敗、そこから立ち上がる力。たとえきれいではなくても、そうした「人間らしい営み」が語られるとき、聞く人はその企業に信頼を寄せます。
「うちの会社にはストーリーなんてないですよ」とおっしゃる経営者ほど、実は人の心を打つ“語るべきもの”をお持ちです。ストーリーのない会社はありません。どんな会社にも、人に語るべき物語が必ず眠っています。
それは、ただまだ言葉になっていないだけなのです。
そして今、企業に本当に求められているのは、自分たちの存在理由を物語として深く掘り起こし、形にすることではないでしょうか。
人が商品や取引先、就職先を選ぶとき。情報があふれ、簡単に比較ができる今の時代だからこそ、
「なぜこの会社を選ぶのか?」という答えを求めています。
その答えになるのが、ブランドストーリーです。言い換えれば、それは会社の魂を語ることです。
4. ブランドストーリーの不在が“売れない”“選ばれない”を招く
選ばれない原因は、この3つの壁にある



商品やサービスが、“売れない” “選ばれない” 理由の多くは、ブランドの物語が相手に伝わっていないことにあります。
いまは、ただ「いい商品だから」選ばれる時代ではありません。
人が選ぶのは、その商品やサービスの背景にある想いや考え方です。
「なんか好きだな」「この会社を応援したいな」と感じてもらえるかどうかが大事です。
でも、つい「何をしている会社か」ばかりを話してしまい、「なぜやっているのか」が伝わらない。
その結果、心に響かず、記憶に残らず、選ばれないブランドになってしまいます。
だからこそ、ブランドの“根っこ”にある物語を形にして、ちゃんと届けることが必要です。
5. ブランドストーリーはマーケティングの装飾ではない
ブランドストーリーは、単なるマーケティングのための飾りではありません。
会社の歴史や選択の記録であり、未来の羅針盤になります。
創業の原点、転機となった出来事、社員との関係、事業を通じて実現したいこと。
こうしたことを自分の言葉で語れる会社は、強いブランドを持っています。
社内では共通言語となり、インナーブランディングとしての役割を果たします。
社外では共感を呼び、人の心を動かす力になります。
ブランドストーリーをつくる出発点になるのが、この2つの問いです。
⚫︎「創業以来、大切にしていることは何か?」
⚫︎「それはなぜか?」
理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、企業の価値観や目指す方向を示しますが、
その背景にある想いや、なぜその言葉になったのかまで伝わっているでしょうか。
想いが伝わることで、理念は社員の行動指針となり、顧客との信頼を生みます。
そのために必要なのがストーリーです。
ブランドストーリーは、理念やMVVを単なる言葉で終わらせず、
企業の本質を直感的に、そして感情に響く形で伝える力を持っています。
6. 生き残る企業の共通点 〜ブランドストーリーが果たす役割
生き残る企業には、共通するものがあります。
それは、ブランドストーリーが単なる「語るためのもの」ではなく、
企業の中で生きたものとして機能し、未来への力になっていることです。
ブランドストーリーは、単なるスローガンやコピーではなく、
企業の価値観や方向性を示し、社内外にその想いを届ける「骨格」として機能しています。
生き残る企業のブランドストーリーには、次のような共通点があります。

ブランドストーリーが社内で共有されることで、社員一人ひとりが「何のためにこの仕事をしているのか」を理解できるようになります。
単なる業務の指示や目標の数字ではなく、会社としてどんな志を持ち、どんな価値を社会に提供しているのかが明確になることで、仕事の意味が見えてくるのです。
その結果、部署や役割を超えて共通の目的意識が生まれ、自然と行動や判断に一貫性が出ます。

ブランドストーリーを持つ企業は、ただ商品やサービスを提供しているだけではありません。その背景にある想いや価値観がしっかりと語られているため、顧客や取引先は「この会社と長く付き合いたい」と感じるようになります。
これは単なるリピート購入や契約の継続にとどまらず、パートナーシップとしての関係性の強さにつながります。

生き残る企業のブランドストーリーは、過去・今・未来をしっかりとつないでいます。創業の原点やこれまでの歩みを大切にし、その価値観を土台にしながら、今の姿を言葉にし、これから目指す未来の姿を社員や社会に示しています。
この「軸」があることで、企業の意思決定や行動がブレません。
どんな時代の変化や経営環境の変動にあっても、「私たちはなぜこの事業をやっているのか」「何を大切にして判断するのか」が明確であるため、ぶれずに前に進むことができるのです。これが変化の時代を生き残る企業の強さになっています。

ブランドストーリーは、単なる理念やMVVの掲示ではなく、日々の判断や行動の基準として生きています。
例えば、目の前の取引で「何を優先するべきか」「どんな選択をすべきか」といったときに、ストーリーがその答えを指し示してくれるのです。
その想いが行動に表れ、一貫性が社内外に伝わることで、企業としての信頼が積み重なっていきます。
ブランドストーリーは、企業が変化の激しい時代を生き残るための土台。流行や装飾ではなく、企業の未来をつくる力なとなるのです。
7. ブランドストーリーの見つけ方〜私たちのアプローチ〜
私たちが目指しているのは、きれいなコピーを書いて終わることではありません。
ブランドストーリーをつくる出発点は、企業の中にある“まだ言葉になっていない本音”を見つけ出すことです。
ブランドストーリーは「作る」というより、「見つけて、整える」ものだと考えています。
すでに会社の中にある本質や価値を、きちんと形にし、伝わる言葉にする作業です。
そのために、私たちは以下のようなステップでブランドストーリーをつくっていきます。
⚫︎ ブランドストーリーを見つけ、整える4つのステップ
本音を引き出す
対話を重ね、創業の原点や大切にしてきた想い、選んできた道のりの理由を探ります。
「創業以来、大切にしていることは何か?」「それはなぜか?」という問いを軸に、本音に光を当てます。
今のリアルを描く
社員の声に耳を傾け、現場でどんな価値観や課題が共有されているのかを洗い出します。
これにより、会社の今の姿が浮かび上がります。
過去と未来をつなぐ
これまでの物語と、これから目指すビジョンを結びつけます。
理念やMVVが「なぜそうなったのか」を掘り下げ、その背景を物語として形にします。
見つけた価値を整え、言葉にする
見つけたストーリーを整理し、共感を呼ぶ形に整えます。
単なるコピーではなく、企業の本質が直感的に、感情に届く言葉にしていきます。
当社のブランドストーリーづくりは、自己流ではありません。
体系的なブランディングの視点と、(一財)ブランドマネージャー認定協会および (一社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会の考え方を参考にし、当社の経験を活かした独自の方法で、企業の価値を物語として形にしています。
8. ブランドストーリーを語れない会社に、未来は語れない
おわりに。
ブランドストーリーの大切さや、私たちが考えるつくり方についてお伝えしてきたことを、改めて振り返ります。
企業の数だけ、物語があります。
けれど、それが語られなければ、存在していないのと同じです。
ブランドストーリーは、過去と向き合い、今を言葉にし、未来を照らす力になります。
単なる“いい話”ではなく、“その会社にしかない本当の話”であることが大切です。
どんな会社にも、語るべき物語があります。
創業の原点、転機となった選択、大切にしてきた価値観。
それを見つけ出し、社員や顧客、社会に向けて自分たちの言葉で語ることが、これからの時代に求められています。
物語が語られ、共有されることで、会社の中に一体感が生まれ、
社外では「この会社を応援したい」という共感や信頼が育ちます。
ブランドストーリーを語れない会社に、未来を語ることはできません。
だからこそ、あなたの会社だけの物語を、ぜひ見つけ、語り始めてください。
ブランドストーリーについて、さらに深く知りたい方はこちらもぜひご覧ください。
企業理念とストーリーの関わり、その力をもっと知りたい方はこちらから
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